短歌

2010年03月19日

能楽堂の燈火明るし

短歌コラボレーション:山本栄子/平居久仁子/山野とも子/山科真白


さりげなく安否問合ひ坂上る能楽堂の燈火明るし とも子

肩越しに読まるるを知らずしんねりと和綴じの本をめくる指先 久仁子

大鼓の音色内耳に温めつつ薄暮の坂を下りていくなり 栄子

隠れ家のやうな店にてひそやかに「心のこり」とふ臓物を食む 真白

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drecom_vanillabeans at 11:15 

山科真白短歌

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 踊る

ブルース
パーティはまずブルースで足馴らし。男女がしづかに一組となる
ルンバ
見つめあふ視線のままで踊りゆく膝やはらかき男のルンバ
ワルツ
雲上の床を滑れば盛装のワルツの上手き雷神に会ふ
ジルバ
激しさに応へるジルバ くるくると右に左にまはされながら
タンゴ
哀音が細く流れて火のごとき君のタンゴに抱かれてゐる
パソドブレ
吾は今、死にゆくまへの牛となりホールの床に蹄を鳴らす
スローフォックストロット
美しき風の通ひ路ほほゑみて吾らを森に誘ふこぎつね
ウィンナーワルツ
華麗なる鹿鳴館にて忘れたる白手袋を拾ふ伯爵


drecom_vanillabeans at 10:54 

山科真白短歌

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冬の縫ひ代

しづかなる池のおもてにうつろへる雲がひんやりみづに濡れをり

孔雀石、煙水晶、紅瑪瑙、石売る店にきらきらと嘘

二千十二年マヤの予言のそのまへにほろびつつある白い薔薇の木

河向かうのピアノ工房にて内部まで晒されてゐるわたしのピアノ

雪の夜のワグネリアンの饒舌もジェラートのごと溶けてゆきたり

無花果入りパン・オ・フィグを愛すると真昼のカフェで君に知られる

くちびるを甘く染めればやはらかきマシュマロ・キャラメル・マキアートをのみどに

夢ならば絹のドレスの裾をあげ迷路のやうなフェズの町まで

うつくしきけものの皮はなめされて永久にあなたに抱かれてをりぬ

drecom_vanillabeans at 10:36 

ユロージヴァヤ/ユロージヴィ

短歌コラボレーション:谷口龍人/矢嶋博士/藤田初枝/山科真白



言葉また凶器と化するゴリアテの額を割りしつぶてのやうに 龍人

竪琴をふるはせてゐる風の野にダビデの指が触れし星はも 真白

かけまくも畏き神に似せられし「ヒト」とふ悪魔あまき夢見る 初枝

偽善者であることときに意識して法衣の下に愛を説くらむ 龍人

禁忌なる女教皇の真つ白き乳房奪へよ、秋の天空 真白

孕まざる一生だつたとのみ記しジャンヌ・ダルクに会ひに行かうか 初枝

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drecom_vanillabeans at 10:27 

山科真白短歌

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竪琴をふるはせてゐる風の野にダビデの指が触れし星はも

死人花の首を揺すつてゆく秋に吸はれるごとくいのちは燃えて

ひそやかに雄時と雌時が擦れ違ふせつなに月はしづかに笑ふ

美しきこゑのこぼれて初雪の白をかすかに乱してゆきぬ

こんなにも百合が似合ふと花束を抱かされてゐる聖夜のまへに

鐘といふ鐘を鳴らしてゆきさうなたのしきひとよ遊べよ遊べ

をかしみとかろみを粋に教へられ茶房の隅は華やぐばかり

神鳴の気配の消えて医また鍼うつ音をひびかせゆかむ

drecom_vanillabeans at 10:21 
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