2010年03月19日

能楽堂の燈火明るし

短歌コラボレーション:山本栄子/平居久仁子/山野とも子/山科真白


さりげなく安否問合ひ坂上る能楽堂の燈火明るし とも子

肩越しに読まるるを知らずしんねりと和綴じの本をめくる指先 久仁子

大鼓の音色内耳に温めつつ薄暮の坂を下りていくなり 栄子

隠れ家のやうな店にてひそやかに「心のこり」とふ臓物を食む 真白



肌合はすかに恋深む狛犬のあ・うんの頭に初霰ふる とも子

参道の流れせき止めてありがたきうさぎ撫でむと人の列のあり 久仁子

お神籤に縁起かつぐと言ふことも最早あらざり玉砂利を踏む 栄子

孔雀石、煙水晶、紅瑪瑙、石売る店にきらきらと嘘 真白

花の宿優しき人と長電話しつつ心を解きたる朝 とも子

空くまでを文庫本片手に待ちをりし学生寮のピンクの電話 久仁子

例ふれば桜色した思ひ出と電話の向かうのあなたが笑ふ 栄子

こゑよりもつながりてゐるこころもて汝が舞ふ袖に梅の匂ひつ 真白

枡席に褄寄せ合ひてたまきはる命の踊りに見入る丸髷 とも子

息つげば黒繻子の帯の鳴きいづるなだめむやうに汝の手を添へぬ 久仁子

「たまゆら」と言ふ言葉美し蹲ひて冬の畳に小袖をたたむ 栄子

「孤悲」為云言葉美彼乃海乎漂舟能灯之雫 真白 (万葉仮名で詠む)

若菜摘む日本男児と二人連れ明るき未来寿ぐやうに とも子

春野ゆくわれに無告の傷ありて耳にやさしき草笛の音 久仁子

草笛が得意なりしよ今もなほ記憶の底に君は輝く 栄子

万葉の歌詠みびとの集ひゐる夢の深野をたづねゆくかな 真白

drecom_vanillabeans at 11:15短歌  
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