2007年01月

2006年ベスト本

今年の私の読書の最たる特記事項は、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の読破!!

論文が書けるほど詳細に読んだかと問われると、答えはNonですが、読破などと書きたくなるほど、読み通し、読み終えるのはしんどい作業でした。

しかし、『失われた時を求めて』という作品ほど知的好奇心の枝葉があらゆる方向に伸びてゆく小説をほかには知りません。
読み終えてもう大分時がたつのに、いつまでもいつまでもプルーストの世界を漂い彷徨っているような気がします。

昨年の春にパリのペール・ラシェーズ墓地にプルーストの墓を訪ねた。
別にプルースト目当てでペール・ラシェーズに行った訳ではないが、『失われた時を求めて』を読了できないことが、魚の小骨のように私のどこかへひっかかっていたことは事実で、墓石の下に横たわっているであろうマルセルに申し訳ない気分になったのだった。

昨年から、バルザックの人間喜劇90篇を読んでいこうと読み始めたが、
途中で、翻訳されていないものが多く存在することに気づいた。
フランス語を教えてくださる方がいて、本格的にフラ語をはじめたのも今年である。
バルザックの原文を読むなどという野望は、フラ語の難しさに初期に打ち砕かれたが、日本語と英語(教育された程度の)しか知らない人間がほかの言語を学ぶというのは、勉強になるもので、T先生には心から感謝している。

『失われた時を求めて』を読み終えて、関連本に手を出し、それもぼちぼちおさまってくるだろうと思いきや、プルーストの憑依は続き、なかなか抜け出せない。

バルザックは、面白いので楽しく読めてしまうのだが、プルースト憑依の所以かバルザックに今年中に帰ることが出来なかった(笑)

プルーストが強烈だったので、プルースト話題に終始しがちだが、今年は、何人ものすばらしい作家と出会い、影響を受けた。

マルセル・シュウォッブ・・・『少年十字軍』が特によい。そして、訳者の多田智満子さんの名訳に唸った。

フィリップ・クローデル・・・『灰色の魂』は暗い作品だったが、『リンさんの小さな子』はうってかわった印象の小説で、本を読みながら感涙してしまった。

ガブリエル・ゼヴィン・・・『天国からはじまる物語』この本は、今までの死後の概念を忘却し、新しい天国を教えてくれる。未知のことには、自分の好きな概念を信じればいいと思う。死にたくなってしまうほど天国があったかく感じた一冊。

フリオ・リャマサーレス・・・『黄色い雨』 とてつもなく暗くて悲しい闇の塊が重く貫いている小説だ。すばらしい。
フリオ・リャマサーレスは、詩人として有名で、詩人が散文を書く、あるいは、翻訳するそれらの言葉の選択や文章の創造に非常に興味を抱いた。

ジェフリー・フォード・・・『シャルビューク夫人の肖像』 彼の仕掛ける謎かけ遊びを十分に楽しませてもらった。視点が面白い。

というわけで、今年もあと僅かになりました。
来年も、散文を読みつつ、映画を見つつ、音楽を堪能しつつ、異国語を勉強しつつ、韻文を書いていきます。  2006年12月25日 山科真白

at 18:52コメント(0)トラックバック(0)書評 
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